関東一人旅〜茨城の中心で江戸時代を思う〜

関東一人旅もいよいよ後半です。
ついに今回の目的である、中国時代の同僚かつ友人に会いに、茨城の県庁所在地、水戸にきました。
コロナ禍で帰国後はなかなか会う機会がありませんでしたが、念願叶ってようやく再開です。
お互い見た目も考え方もあの頃のままで、中国駐在時代に戻ったかのような感覚になりました。

さて、そんな友人がこの日一日は水戸市内を案内してくれるというので、お言葉に甘えて茨城の中心地をぶらぶらしてきました。

 




水戸といったら偕楽園

友人曰く、「水戸に来たら偕楽園!というかそれしかない!」ということなので、昼食を済ませ行くことに。
昼食は茨城スタミナラーメンという、ご当地ラーメンを食べたのですが、なんと写真NGの店だったので、写真は撮れずでした。今時珍しい堅気な店でした。
やっぱりルールは守らないとね。

さて、偕楽園は金沢の兼六園、岡山の後楽園とならぶ「日本三名園」のひとつで、天保13年(1842年)に水戸藩第九代藩主徳川斉昭によって造園されたそうです。
(※徳川斉昭といえば、徳川最後の将軍、徳川慶喜の実父ですね。)

 

さぁ、でました。日本三大シリーズです。今回の旅行には何かと縁がありますね(笑)
他の二つにも入ったことがないので、この三名園は初来訪です。
名園と言われる庭園はどんなものなのか、期待に胸膨らませ入園です。

 

 

静寂とした園内

入り口からすでに幽玄な雰囲気が醸し出されています。
徳川家康を祀った日光東照宮の豪華絢爛さとは、対極に位置する佇まいですね。

入園してすぐに、立派な竹林の回廊を歩きました。
木々が風に揺れさざめく音が実に涼しげです。

この日も例によって、観光客はほとんどいませんでした。
みんなコロナビビりすぎやって!

庭園内も素晴らしく、水の流れ、木々の配置が計算されています。
自然の流れそのものを大切にしているような、設計者の意匠を感じます。

歩くだけで見どころたくさんありますね。

 

途中かなり立派な梅林がありました。
最盛期はかなりの美しさだそうで、2月中旬~3月31日ごろまで、水戸の梅祭りが開催され、全国から大変多くの観光客が来るそうです。
この時だけは臨時駅も開設されるほどの盛況ぶりだそうです。
そうか、この時期は偕楽園にとってはオフシーズンだったということですね。

 

わびさびの好文亭

園内にはもう一つの見所があります。それが斉昭が建造した好文亭です。

「好文」とは梅の異名です。晋の武帝の「学問に親しめば梅が咲き、学問を廃すれば咲かなかった」という故事にもとづいて斉昭が名づけました。
偕楽園HPより

相当な格式高い感じの建物のような気がしますが、中に入ってみるとやはりその名の由来に恥じぬ素晴らしい作りになっていました。

 

東塗縁広間

斉昭が領内の80歳以上の家臣と、90歳以上の庶民を招いて、養老の会を開いた場所です。
招かれた人々は、藩主から綿入羽織など記念の品が贈られたそうです。
天井がものすごく凝っていて、網代張り(今でいうヘリンボーン柄)になっています。
これは手が込んでいる。

建物内の庭園も素晴らしいですね。
全く無駄のない作りになっています。

襖絵の素晴らしい奥御殿

好文亭の奥には奥御殿があり、そこには大小様々な部屋があるのですが、そこには素晴らしい襖絵の数々がありました。

菊の絵ですね。春の草原の華やかさが出てますね。

桃の間です。かなりの広さの襖に大胆に桃の木が描かれています。
迫力が素晴らしいです。


桜の間です。岩に乗っている鳥がいい味出しています。

つつじの間です。はっきり鮮やかな赤が薄緑の襖に絶妙に合っていますね。

紅葉の間。襖絵の中で一番ド派手だなと思いました。派手だけど、いやらしさを感じない。

松の間。あえてぼんやりと描いているのがいいね。

竹の間です。個人的にこれが一番好きです。
竹の幽玄な感じが出ていて、見ていて引き込まれますね。

 

これらの襖絵は昭和20年(1945年)の水戸空襲で消失し、復元の際に昭和を代表する二人の日本画家、須田珙中と田中青坪が植物にちなんだ部屋名にあわせて描いたそうです。
そう考えると、やっぱり戦争って忌むべきものですね。貴重な文化財があっという間に灰燼にきしてしまうなんて。

 

三名園の名に恥じない素晴らしさ

好文亭を出るまえに、中にあるカフェでまったりとコーヒーを飲みました。
かつての水戸藩主もこの風景を見ながら、お茶を飲んでいたのでしょうか。
素晴らしい景色が眼前に広がっています。

このような立派な庭園を造園し、維持することができる御三家の力をまじまじと感じることができた時間でした。
三名園と呼ばれるだけのことはありますね。

 

おまけの面白スポット

偕楽園を出た後は、水戸市内をぶらぶら散策。
友人が「水戸に来たら見ておいた方がいいものがある!」というので水戸駅へ。

すると、そこに悠々と立つ水戸黄門様の像が。黄門様のお膝元の街だけはありますね。
しかし、友人はそれじゃないと言わんばかりに、どんどんと歩いていきます。
そして、本当の水戸駅のランドマークがそこにはありました。

巨大な水戸納豆のオブジェです。
これはこれで、確かにインパクトがあるのですが、作るほどのものかと感じてしまいました。
友人は横で「これがウケるんですよ〜!!」となぜか爆笑。
友人の意図がわからぬまま、この日の散策は終了です(笑)

 

ランキングだけではわからない魅力

夜は友人とゆったりと酒を飲みながら朝まで語り合いました。
3年ぶりに飲む酒は、ほろ苦くもすっと喉を通り越し、何倍でも飲むことができました。

よく魅力がない県の代表として語られる茨城ですが、そんなことはないと思います。
今回は水戸と大子町しか行ってませんが、つくばや土浦など有名どころは他にもたくさんあります。
次回来た際には、そっちの方へも足を伸ばしていきたいですね。

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