棋魂

皆さんは「ヒカルの碁」という漫画をご存じだろうか。
碁という日本ではお世辞にもメジャーとは言えない競技を、一躍誰もが知るものにまで押し上げた、小畑健の名作漫画です。
この漫画の影響を受けて囲碁を始めたという子も多くいたそうです。
残念ながら、自分は全く影響されませんでしたが(笑)
さて、そんな「ヒカルの碁」が、驚くことに中国で実写ドラマ化されました。

 

数多くの漫画原作の実写作品を見てきましたが、マンガを実写化するのは非常に危険が伴うものです。
それがましてや中国でなんて…。
しかし、このドラマかなり中毒性が高い名作になっています。

 




あらすじ

9歳の时光は、お小遣いの足しにできるものがないかと、祖父の家の物置でいろいろと物色していました。
古い碁盤を偶然見つけ、思わず触れてしまいました。すると、碁盤に宿っていた南朝梁時代の天才棋士・褚嬴に取りつかれてしまうことに。
褚嬴の望みは、「神の一手を探すこと」。
その望みを叶えるべく、時光は囲碁の世界に足を踏み入れることに……。

そんな訳のわかぬまま、探し当てた碁会所で、兪亮という天才少年と対局することに。
本来なら敵わぬはずの戦いだが、褚嬴の導きにより圧倒的な勝利を収める。
対局により兪亮は生涯を決定づける大きな衝撃を受けるのでした。

また、軽い気持ちで参加した囲碁大会で圧倒的な強さを見せた时光。
プロ棋士たちの目に留まり、囲碁道場に通うようになります。しかし、自分は褚嬴の手助け手助けがなければ何もできないことを悟り、耐えがたい心情になり、褚嬴とは袂を分かつことに。

6年後、旧友を助けるために再び囲碁の対戦をすることとなった时光。
対戦中に大ピンチに陥るが、そんな中再び褚嬴の声が聴こえ、二人は再開を果たします。
この再会を機に、旧知の囲碁仲間と褚嬴と共に、時光はプロ棋士を目指していく。

 

味のある登場人物達

时光

本作の主人公の时光。原作の進藤ヒカルです。
原作よりももっとおちゃらけたキャラクターで、軽はずみな発言や行動が周囲をイライラさせることも。
しかし、友情に厚く、碁に対する思いも人一倍強い。ついつい応援したくなるキャラです。

演じる胡先煦は天津出身だそうです。天津出身の俳優さんって名優が多いな~。

褚嬴

 

もう一人の主人公である褚嬴です。原作でいう藤原佐為です。
最初出てきたときは、白塗りの顔にこの服装だったので思わず吹き出してしまうくらいの違和感でした。
やっぱり実写化は厳しいかなと感じるくらいの出来でした。
しかし、そこに原作へのリスペクトを感じました。
今作は彼がいい味を出しまくっています。時に熱く、時に子どもっぽくして时光を困らせたり、時には人生の導き手となり时光を支えます。幽霊ですが人間味あふれるキャラとなっています。

この作品では、かなり際物のような感じがしますが、演じる张超は超絶イケメンです。
素顔を見たときは思わず目をこすりましたよ(笑)

兪亮

 

时光の永遠のライバルである兪亮、原作の塔矢アキラです。
碁の実力は抜きんでていますが、精神的にもろいところがあったり、时光に固執しすぎていたりと、精神的にムラのある役となっています。

洪河

碁の学校で出会い、以降は親友となっていく洪河です。原作の誰だろう。和谷義高かな。
今作の主要キャラの中では平凡で、一番親近感がわきますね。
ですが、ここぞという時は自分の役割を果たすいい男でもあります。

それ以外もたくさんいます

その他、原作には出ていない登場人物も多数出ています。
個人的には、碁の学校の超絶厳しい先生が好きでした。
軍隊顔負けの行き過ぎた指導は、中国なら本当にありえそうな感じがしました。

 

感想

原作通りではないがリスペクトは感じる

今作を見て最初に感じたことは、これはヒカルの碁ではなく、全く新しいリブート作品だということ。
物語のベースとなる原作らしさを大切にしながらも、中国らしさをうまく盛り込んだ内容なっているなという感じがします。
そのため、原作の魅力や特色などはそのままに、中国の社会情勢下にマッチした作品になっています。

先ほども述べたように、原作の藤原佐為である褚嬴の再現度は高く、制作陣の原作への愛を感じます。
違和感はもちろん感じます。ですが、見ているうちにそんなことは気にならなくなり、物語としての魅力に引き込まれていきます。

 

男子、三日会わざれば刮目して見よ

今作は、主人公である时光の成長の物語であります。
9歳から高校卒業までの長い期間の彼の成長の軌跡を楽しめます。

最初は褚嬴の力に頼りっきりで、囲碁をなめ腐っていた时光。
しかし、次第に囲碁の魅力に取りつかれていき、その楽しさや厳しさを体感していき、棋士として人間として大きく成長していきます。
そこにはライバルである兪亮の存在ももちろん大きいですが、ずっとそばで彼を叱咤激励し、導いてくれた褚嬴の存在があってこそです。
原作をお読みの方はもちろんご存じでしょうが、物語後半は涙なくては見えません。
しかし、様々な困難を乗り越え、たくましく成長していく时光の姿を見て、「自分も頑張らないとな」と感情移入してしまうこと必至です。

 

文句なしに素晴らしいドラマでした

最初は面白半分で見始めましたが、次第に早く続きが見たいと思えるような素晴らしい作品でした。
ひとえに原作の素晴らしさと、その原作をうまくドラマに仕上げてくれた制作陣の思いが合わさった、まさに日中合同ともいえる作品になっています。
「原作とはちがう・・・」、「舞台が中国~?」などと色眼鏡で見ず、まずは見てみてください。
原作が好きな人も、原作を見たことがない人も、楽しめること間違いないです。

 

久しぶりに原作も読みたくなってきたな~。

 

 

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