連続して投稿してた、TOOLに関する愛を語りまくってきた記事もこれが最後です。
最後を飾るのは、2019年、約13年ぶりにリリースされた『Fear Inoculum』です。

出典:amazon.com
どんだけ待ったことか…
以前もお話ししたように、TOOLのアルバムリリースには決まった周期があります。
5年というのが定説となっていました。
なので、『10,000 Days』を聴き終わった後は、「次は2011年ぐらいかな〜」と思っていたものでした。
しかし、待てど暮らせどリリースの情報は一切出ないどころか、活動させしているのかどうかわからない状況が続きました。
こと日本に関しては、TOOLに関する情報は極端に少ないため、全く状況がつかめませんでした。
そんなこんなで気づいたら13年と言う月日が経っていました。
13年って…、オリンピック4回分ですよ。こち亀の日暮でも、もう少し頻繁に出てきますよ。
ファンとしては、この時間が途方もなく長かったです。
もちろん、既に諦めてしまっている方も多かったことでしょう。
しかし、この長い長い歳月をかけて、彼らが新譜を出してくれたことに素直に感謝します。
極度の不安
しかし、13年という時間はあまりにも長いものです。
彼らがいくらTOOLだとは言っても、一人の人間です。
この長期間で音楽的に失ったものも多いのではないかと思いました。
あのダークな世界観は?
うねるようなヘヴィーなサウンドは?
メイナードのおどろおどろしいボーカルは?
などなど、本当にかつての彼らの音世界を、再び聞くことができるのか、期待よりも不安の方がはるかに大きかったのを覚えています。
TOOLはどこまでいってもTOOL
そんなモヤモヤした気持ちで本作を聴き始めたところ、そんなことは杞憂だと悟りました。
そこにはいつもの彼らが堂々と君臨していました。
今までのような、派手で変化に満ちた作品ではないですが、彼らにしか出せないダークでヘヴィーなグルーヴは健在です。
そして、収録時間も過去最長で、約90分もあります。
今までの鬱憤を全て詰め込んだかのような、大作に仕上がっています。
本作はこれを聴け!
全ての曲が10分越えという、なんとも初心者泣かせの本作。
決して聴きやすいとは言えない楽曲が並びますが、本作のマストは以下の曲です。
Fear Inoculum
タイトルトラックからTOOL節炸裂。のっけから10分ごえの大作です。
地味ですが、彼らの13年間の重みが凝縮されていると言っても過言ではない曲です。
静寂のイントロから始まり、そこにダニーのトライバルなビートが乗り、えもいわれぬうねりが生まれます。
そして、徐々に激しくなっていくサウンド。
彼らが帰ってきたと感じる良曲です。
Pneuma
これだよこれ!
ギター、ベース、ドラムのシンプルな構成で奏でる重厚な世界観。
変拍子による不可解なリズムによって、徐々に引き込まれていくあの感覚。
シンプルなのに、なぜか変化を感じる彼らの十八番とも言える展開です。
緩急をつけながら徐々に盛り上がっていき、ラストはもう大暴れです。
しかし、ここまで大暴れしておきながら、最後は静かに終わるあたりが、他のバンドとは一線を画しますね。
7empest
最後にして、本作の最大のエネルギーを持った曲です。
その時間なんと15分。この時間彼らの曲を聴くと、深淵にはまって戻ってこられないような気さえしますが、その時間を全然長く感じさせないほど、作り込まれている曲です。
不思議な音色のアルペジオから始まり、さらに妙な鐘の音が鳴り響き余計に不気味に。
しかし、突然入ってくるヘビーなギターを皮切りに、曲は一気に熱を帯びてきます。
途中メロディアスなパートを挟みつつ、アダムのギターソロに突入。
いつものように空間を巧みに支配する、職人技のギターソロです。
前作よりも円熟味がさらに増していて、無駄なものを極力削ぎ落としたものになっています。
ラストはダニーのドラムが大暴走です。
あんなに好き勝手に叩いているのに、正確に曲が進行していくってどういうこと。
はっきりいってバックの演奏もカオス状態やのに、それが曲として成り立ってしまう彼らの凄さ。
まだまだ聴き込むと発見がありそうなトラックです。
ありがとう、そしてこれからも
これだけ、魅力と狂気に満ちたバンドは他にはいません。
まさに他の追随を許さないとは彼らのことです。
本当にもっとたくさんの人たちに彼らのことを知って欲しいです。
そして、皆さんの元に彼らの音楽が届いて欲しいです。
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