今回もTOOLの新作発表を記念して、彼らのアルバムをレビューしていきます。
今回レビューするのは、前作『Ænima』と双璧をなすアルバム、『Lateralus』です。
今作までの流れ
『Ænima』リリース後は、精力的ににライブ活動は行うものの、契約上のトラブルを抱え、そちらの処理に追われてしまう。
しかし、その一方でバンドはアメリカ国内では完全に抜きん出た存在になり、神格化されるほどになっていった。
しかし、『Ænima』以降は、TOOLとしての活動は一切の情報が出なくなってしまいます。
一方、ボーカルのメイナードは、再度プロジェクトであるA Perfect Circleに精を出していました。
(こちらのバンドもTOOLと雰囲気は違いますが、オススメです。)
そして、2001年に突如なんのアナウンスもなくリリースされたのが、本作『Lateralus』です。
『Ænima』からすでに5年の歳月が流れていました。
本国でのその反応は凄まじく、ビルボード1位を記録します。
国民の期待感もさることながら、このようなサウンドのバンドが1位を取るという、アメリカの懐の深さを感じずに入られません。
さらに深化したサウンド
ポリリズムとか変拍子とかは当然の、リズムとるのが非常に困難な楽曲群。
極度のエフェクトがかかったギターとベース。
そこに畳み掛けるように重ねるエモーショナルなボーカル。
これほど、複雑な構成をしているのにも関わらず、すっと耳に入ってくるから不思議です。
逆に言うと、すでにTOOLの世界に囚われているだけかもしれませんが。
今回は若干ハードな面も強いです。ダークな面ももちろんありますが、こちらの方が聴きやすいのではないかなと言う印象です。
ほぼ、捨て曲なしの本作ですが、個人的にオススメな曲を紹介します。
本作はこれを聴け!
The Grudge
イントロの絶妙なうねりからの爆発力。
そして、この曲の最大の特徴は、あまりに難解なリズム。もはやアートの域です。
これを平然と叩き、ライブでも再現するドラムのダニーは変態です。
そして、曲のピークにくる、メイナードの咆哮とも呼べるシャウトは圧巻です。
こちらも常人には絶対無理。
様々な面でTOOLというバンドの絶対的な存在を認識させられる曲です。
The Patient
この緩急のつけ方が彼らの大きな特徴ですね。また、その切り替えがうまい。
本作で最も聞いているうちに引き込まれる曲です。
それほどに不思議な魅力を持っています。
Schism
不穏なベースの和音から入り、三連の心地よい刻みのフレーズが耳に残ります。
そして突然ギターが入り、ユニゾンで同じく三連を奏でます。
どこか淡々とした様子で演奏が繰り広げられていきますが、徐々にボーカルがエモーショナルに歌い上げていき、曲の雰囲気を激変させます。
奇妙な表現も多く、正直グロテスクな場面も多いので、注意してください。
ただ、曲の世界観が絶妙に表現されていて、これ以上ない最高のものになっています。
PV込みで、この楽曲は聞くべきです。
Parabol/Parabola
この2曲はセットでないと語れません。
ほぼギターとボーカルのみの静寂のPlalabolと、激動のParabolaの2部構成です。
雰囲気抜群の曲です。まさに彼らが作り出す世界観の真骨頂ともいえます。
その空間は、無限の深さを感じさせてくれます。
陰鬱とした雰囲気を醸し出しながらも、どこかにかすかな光を感じます。
こちらは一転、怒涛のメタルの曲です。
ここまでストレートにメタルをやるのって、逆に珍しいかもしれません。
個人的に、ギターが超かっこいいと思っている曲です。
Plalabolの世界観があってこそのこの楽曲ですね。
個人的にはオススメ
もう、最初から最後まで圧巻の曲構成です。
非の打ち所がないとはこのことですね。
ファンの間では、よく『Ænima』と『Lateralus』のどちらが最高傑作かと議論されています。
個人的には、『Lateralus』を推します。
曲の構成、音圧、1曲1曲のクオリティーの高さは、こちらに軍配があがりますね。
ただ、アルバム全体の完成度の高さは間違いなく『Ænima』です。
彼らの狂った世界観はあちらの方が堪能できますね。
ただ、アルバム全体を通して聞かないと、本当に深遠まではたどり着けないので、まずはこの『Lateralus』から聞いた方がいいかもね。
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