TOOLのアルバム紹介シリーズもいよいよ残す所あと二作となりました。
これを書くたびに、TOOLを聞き返しているんですが、その度に新たな発見がありますね。
今作は2006年発売の10,000 Daysについて紹介したいと思います。
ファンをやきもきさせられるリリース周期
今作も前作から5年の周期で出されたものです。
ここから、ファンの間では5年という数字が非常に大きな意味を持つようになりました。
ただ、次の新作は13年後というまさかの超ロングスパンでしたが。
そこはまた後日詳しく。
高まる期待感
前作の完成度の高さ、あれを超えるのは容易ではありません。
そこへの期待感がどうしても避けては通れないのが彼らです。
結論から言ってしまえば、本作は前作を超えるものではありません。
やはり、『Ænima』と『Lateralus』はそれほど突出した作品なのです。
5年の歳月でました円熟味
以前のような暗く、壊れかかっている世界はもちろん健在です。
以前はそこにある種狂気のような恐ろしさもあったのですが、今作ではそれが少し抑えられている気がします。
ある種地味となったと言う気がするようなサウンドです。
しかし、そこには彼らなりの、年月を重ねた末で得た円熟したサウンドだと思います。
ゴリゴリのアグレッシブな曲が少なくなっている分、メロディアスなものが増えている気がします。
特に、それぞれの楽器のフレーズにそれが顕著に出ています。
全体的にキャッチーで聴きやすいという印象ですね。
本作はこれを聴け!
色々とファンの間でも賛否両論のあるアルバムですが、個人的には結構聞いています。
その中で特にオススメはこちらです。
Vicarious
アルバムのスタートを飾る楽曲です。
イントロからキャッチーなギターフレーズが奏でられます。
本作の方向性を示しているようなスタートです。
割とストレートでわかりやすい展開が続きます。
なかなか聞かせるメイナードのボーカルで引っ張るのかと思いきや、途中からガツンガツンと強烈なうねりを入れてくるあたりはさすがです。
Jambi
いきなりゴリゴリのギターからスタートし、脳髄にずんずんと響く音圧です。
本当に4人で奏でているサウンドかと言うぐらいの音の太さです。
最初から最後までこのテンションで続いていき、途中とんでもないギターソロをかましてきます。
このソロが、この曲をさらなる高みへと昇華させていると言っても過言ではありません。
以前も言いましたが、速弾きではありませんし、すさまじいフレーズが使われているわけではありません。
ただただ、空間と曲を支配するような圧倒的なものです。
ここがこのバンドのすごさです。
The Pot
まさかのメイナードのアカペラから始まります。
意表をつかれたと思う暇もなく、そこから不穏でメロディアスなベースが流れ出し、ギターとドラムが続きます。
このベースフレーズがかなりいいです。難易度はかなり高いですよ。
ギターとドラムも途中からおおいに暴れ出します。
なかなか展開が読めない、本作の中では最も変幻自在な曲ともいえます。
個人的にはTOOLらしさが前面に出ている曲かなと思います。
Rosetta Stoned
歌物系、メロディアス系な曲が多い本作の中では、異質な楽曲。
どちらかというと、『Ænima』と『Lateralus』に入っていても不思議ではないです。
曲の長さは約11分という大作です。
ヘヴィーでおどろおどろしい音世界が構成されており、そこにメイナードのドスの効いた不気味なボーカルが乗ることで、その世界は完璧なものになります。
この曲は完全に振り切っていますね。
なにをTOOLらしさと感じるか
以上のように、本作はTOOLの中では極めてメロディアスなものとなっています。
聴きやすい反面、コアなファンには物足りないと言うこともあるのかもしれません。
しかし、前作とは比較せずに、素直に本作を聞いてみてください。
本作も傑作の域には十分にあります。
個人的には、まずこの作品から聞いてもありかなと思います。
いきなりÆnimaはハードルが高いかな。
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