ついに最後の関門を突破し、後はゴールまで行くだけです。
残り10キロを2時間30分。今までのペースで行けば行ける感じですが、なんせ今回は何があるか分からん。
エイドで補給すると即出発。
エイドからすぐに砂利道の林道が続きます。
今までさんざん登ってきたから、最後はこういう道を下るだけなんかな。
これやったら余裕を持っていけるなと思っていた矢先に係員に遭遇。
すぐにその脇の山道に誘導されました。あぁ、やっぱり最後までそういう道を行くんやね。
しかも、ここからの道は今まで通ってきた中で一番路面状態が悪い。
ここへ来てこの仕打ち。一体どんだけドSなコースなんや。
もうすでに道とはいえません。
今まで一回も転倒しなかったんですが、ここへ来て疲れも相まって転倒しまくりです。
全身もう泥だらけ。でも、ここまで来たらそんなことは気になりません。
この区間はかなりの数の沢を通過。沢で足首が冷やされるたびに、少し足が回復します。
ここへ来て天候も良くなってきて、景色もきれいになってきました。
霧が晴れるの遅すぎですが・・・。
沢渡りの途中でたくさんの人が止まっているところに遭遇。
何でもランナーの一人が大けがをしたそう。みんなで携帯などで大会本部に連絡を取りながら救助を要請。
山の中なので、最終的には自力で帰らなあかんのやろうけど、人ごとではない。
明日は我が身かと思いながらも、その人に声をかけレースに戻りました。
そして、その後は10人ぐらいの人達と隊列を組んで進むことに。
強烈な登り道がしばらく続きましたが、みんながいると何となく勢いで行けてしまいます。
そして、登り道が落ち着いたところで係員に遭遇。ついに山を抜けられるかと思い話を聞くと、「あと1キロ登りが続きますんで」との絶望的な一言。
一緒に登ってきた人たちも「ふざけんなよ〜!」と若干マジ切れ(笑)
制限時間はもう1時間を切りそうです。もう進むしかありません。
登りに登っていくと、景色が一気に開けました。
そして遥か上に最後の頂が。
「マジかよ・・・」と自然と辺りから溜息まじりの声が漏れてきます。
ここへ来てのこの登りは、心を折るには充分なものです。
しかし、行くしかない。ここでやめたらただの阿呆です。
ブツブツ言いながらもみんな登ります。一心不乱に登ります。
俺はもう四つん這いに近い格好で登っていきました。
そして遂に、本当に最後の頂きに到達。
夕焼けに照らされる景色も綺麗だったんですが、そんなことを楽しむ余裕は一切なし。
のこり時間が微妙な感じになってきました。残りの距離が分からんから余計に不安。
ここからはひたすら下り。しかし、路面はかなりハード。岩肌に近いような階段をひたすら下り続けました。
何度も足を滑らしながらも、一度も歩くことなく駆け下り続けました。
そして、遂に森が開け目の前には明るい景色が!
係員に「ここからは残り3kmですよ!」と言われ、コースを見ると・・・。
もの凄い下り坂!
それもそのはず、ここは本来スキー場のゲレンデなんやから。
スキー場のゲレンデを駆け下りるとかおかしいやろ。しかもこっちは40km以上走ってきたあるのに。
案の定、足への負担が半端じゃなく、疲れ切った足では歩いて降りるのも一苦労。
ひっくり返りながら、苦痛に顔を歪めながらも、ひたすら下り続けます。
そして、遂に眼前にゴール会場が見えてきました。約10時間ぶりの会場です。
「やったぞ〜!俺はやり切ったぞ〜!」と心の中で叫びながら、ガッツポーズをしてのゴール。
ほぼ10時間のギリギリでのゴールでした。タイムはどうあれゴールした。この過酷なレースを完走した。それだけに、えも言われぬ達成感と開放感が体中を包み込みます。
何回止めようと思ったことか。何回心が折れたことか。
でも、最後は気持ちが勝った。完走したい(せなあかん)という気持ちが打ち克った。人間最後にものをいうのはやっぱり精神力や。
まじまじとそれを実感した10時間でした。いや〜、しんどかった!
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