毎日読みたい365日の広告コピー

 




言葉に込める思い

仕事上、「言葉のもつ力」にはすごいものがあると感じています。
一つの言葉が人に力を与え、一つの言葉が人を傷つける。
良くも悪くも言葉は人間の人生に大きな影響を与えます。

 

自分が仕事で意識する言葉というのは、いかにエネルギーを与えるかということです。
そのためには、「短く、平易に、心に刺さる」をいつも意識しています。

 

しかし言うは易くで、実際にはこのような言葉が出るのは稀です。
そのような言葉を発せられた時は、本当にみんなの目が輝くのがみて取れます。
そんな時は、自分がまるで魔法使いになったかのような錯覚を覚えます。

 

そんな言葉を扱う仕事をしているからこそ、本書『毎日読みたい365日の広告コピー』は読み応えがありました。
何せ、言葉のプロたちがしのぎを削る広告業界のキャッチコピーが、これでもかと言うぐらいに載っています。

 

その言葉の数々は、まさに私が理想とする「短く、平易に、心に刺さる」ものばかりです。
今回は本書から、特に私の琴線に触れたものを紹介したいと思います。

 

宝石時計 長野 ポスター 2005年

時の商人

その商人は時を売っていた。
「いらっしゃいませ。時はいかがでしょうか?1分から承ります」

ある男は商人から1時間買った。
1時間買った男は、それを読書の時間に使った。

ある女は1週間買った。
1週間買った女は、それを海外旅行に使った。

「10年欲しいのだがね」ある老人は商人に聞いた。
「お客様、10年だと、すこし値がはりますが」
「かまわん、10年ぶんよこせ」

10年買った老人は、それを病気の妻に譲った。

 

時間の大切さは人によって様々だと思いますが、この老人は時間を、何よりも大切な妻に譲りました。
時間の使い方の違いが、生き方の違いに繋がることを強烈に感じさせてくれるメッセージでした。

 

日本教育大学院大学 ポスター 2015年

勉強のいちばんの成果は、もっと勉強したくなることです。

 

これは勉強の心理をついていますね。
何も高得点や、いい成績を取ることが勉強の目的ではありません。
「もっと知りたい」「もっと学んでみたい」
これが勉強の一番の原動力であり、あるべき姿です。
結果はあくまでも副次的なものにすぎないのです。

 

大人の休日倶楽部/東日本旅客鉄道 ポスター2014年

「がんばれ」の次は

「遊びに来たよ」のひと言が、

東北の力になると思いました。

 

「不謹慎」「自粛」
あの震災の時、全国がこのムードに包まれたのを覚えています。
ただ、それで何になる。次に進まないと意味がないんじゃないかと日々思っていました。
私もこの気持ちを持って、東北のマラソンに参加してきました。
東北の人たちの力になれていたら幸いです。

 

日進木工 ポスター 2016年

伝統を壊そうと

する人がいるから、

伝統は続く。

 

伝統的な文化は好きです。
しかし、無意味な伝統は大嫌いです。
時代に合わせた変化を入れながら、伝統は変化していくべきだと思います。
伝統に囚われず、伝統を守っていけるようになりたいですね。

 

清野百香 フライヤー 2012年

目を閉じてから見える色がある。

音色です。

 

音楽の魅力は言葉と同じです。
個人によって感じ方が違い、そこには様々な心象風景を示してくれることです。
その音色がどんな色なのか、決めるのは自分自身ですね。

 

ゼクシィ/リクルートホールディングス CM 2017年

結婚しなくても幸せになれるこの時代に、

私は、あなたと結婚したいのです。

 

 

「結婚」ってなんなんやろうなって考えさせられますね。
今の時代結婚が全てではない。
多様な生き方が進んでいるこの時代の、結婚を価値ってなんやろう。
二人の未来に幸あれ!

 

パイロットコーポレーション 新聞 2017年

たった一人の「いいね」があれば、

本当は、いいのかもしれない。

 

現在の人々は、SNSのいいねを求めて、常軌を逸した行動をとる。
それは心の何処かに不安や、認められたい欲求があるからなんやろな。

でも、わかってくれる人がたった一人いるだけで、そんな不安もなくなるはず。
いいコピーですね。

 

フォーラス ポスター 2007年

花火以外の火遊びもしたい夏が来る。

 

ちょっとドキっとしたし、なんとなくわかる気がする(笑)
これほど短くて共感できるキャッチコピーもないな。
実際はダメなんやけど、行ってみたい気持ちがないかと言うとそうでもない。

 

 

言葉は人を強くし、前に進ませる

以上、自分がビビっときた言葉の数々を紹介しました。
いい言葉っていうのは、いつまでも人の心に残るし、それが前に進む活力にもなります。
言葉の持つ力の意味を考えさせられた良書でした。

 

他にもたくさんのキャッチコピーが載っています。
中には笑えるものや、ブラックジョーク的なものもあるので、時間があれば是非。

 

 

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